介護現場におけるクレーマー対策!家族のタイプ別の違いとは?
介護を提供している事業者は感謝されることが多い一方で、受けるクレームは増加している傾向にあります。クレームが原因でモチベーションの低下に至る職員も少なくありません。
今回は、被介護者の家族に焦点を当て、実際に介護現場でよくあるクレームや、すべき対策に関して紹介したいと思います。
どんな家族がクレーマーになりやすい?
では、どんな家族がクレーマーになりやすいのでしょうか?
- 被介護者の生活全般を管理したがる家族
- 医療・介護分野で勤務している家族
- 被介護者と繋がりが薄い家族
- 時間的・金銭的な余裕がない家族
経験上、大きく4タイプが挙げられます。
①被介護者の生活全般を管理したがる家族
①のタイプの家族は、良い意味では「自分が介護を担っている」という責任感が強いと言
えます。
被介護者のことを、細かく管理しようとする傾向にありますから、自分の介護方法や考えと少しでも違っていたり、小さい事でも自分に報告をされていないことに不満を募らせ、リスクに対してやや敏感すぎる傾向にあるように思います。
例えば、今日は歩けないと被介護者が訴えたため車いすを使用したヘルパーに甘やかすなと憤る、また逆に、絶対に一人で歩くことがないようにして欲しい等の無茶な要望を訴えてくることもあります。その他、細かいものは挙げればキリがありません。
このタイプの対策は、計画書や契約書を元に、「できること」「できないこと」やリスクを明確にし、事前の十分な説明と同意が重要です。「できるだけ○○します」など、曖昧な表現はやめましょう。
家族を労い、役割分担や情報共有をすることで、「チームで協力して介護している」実感を持ってもらうことで、良い関係を築くことが有効な対策です。
情報交換に関しては、「どのような時に」「どの方法で」「誰が」連絡を取り合うかを詰めておくと、無駄が省け、その家族の価値観を探り、情報を共有することができるでしょう。
②医療・介護分野で勤務している家族
②のタイプの家族は、介護に理解が良く協力的な方が多い一方で、厄介なクレーマーにな
ることがあります。技術的・専門的な内容のクレームに発展します。
家族自身、もしくは所属する事業所では「(もっと)できる、している」という思いが根底にあります。
よくあるクレームは、「自分だったら、このサービス提供時間でここまでできる」「○○が下手すぎる」などというものです。
このタイプの対策は事業所として各法令や計画の範囲内か、個人的な技術不足が原因かを確認することが大切です。正当な訴えの場合もあるので、責任者やリーダーが事実確認等を行い対応すべきでしょう。
③被介護者と繋がりが薄い家族
③のタイプは、血縁ではなく、関係性の薄さの問題です。しかたなく連絡先や相談先にな
っている場合がありますから、クレームとしては①のタイプの家族とは逆に「いちいち連絡をしてくるな」とか「お金がかかりすぎる」等が多い傾向です。
しかし、事故などがあると、ここぞとばかりに訴える姿勢を見せることがあります。原因は、被介護者の状況や受けているサービス内容等を「知らない」ことにあります。
手紙や写真、定期的な電話等で近況を伝えることは有効です。
また、他に相談先や連絡先がないか協力者はいないかを再度探すことも大切です。場合によっては、行政相談や成年後見制度の利用も考えます。
④時間的・金銭的な余裕のない家族
④のタイプでクレーマーになる家族は、「自分は介護できないが、サービスを利用するに
しても最低限度にしてほしい」という気持ちがあります。
忙しさの中、担っている役割もあるはずなので、忙しさを理解する姿勢が必須です。
また、サービス利用にかけることができる経済力をある程度把握した上で、ケアマネージャーが計画を立て、各サービス事業者で情報を共有することが必要です。
場合によっては、生活保護申請や生活福祉資金貸付制度へつなげることも視野に入れた提供が必要だと思います。
まとめ
クレームの対応は疲れるものです。
しかし、その背景を理解し、クレームに発展しない工夫や、苦情対応マニュアルを再整備し、必ず対応した日時や結果を残しておくことで同様のクレームにも円滑に対応できるだけでなく、自分たちを守ることにもつながるのではないでしょうか。