もしかして家族が認知症?今後の介護どこに相談すべき?
高齢者の4人に1人が認知症を発症すると言われています。
また、近年は独居、もしくは高齢夫婦のみの世帯が増えており、後から親の変化を知る子どもも少なくありません。
そして、ショックを受ける中、慌てて施設を探すということがよくあります。
そこで、今回は、私の介護経験や相談援助経験から、家族や身近な友人、近隣住民が思い起こせば「あれっ?」と思った、きっかけからのチェックポイントや対策相談準備をいくつか紹介したいと思います。
認知症とは
認知症とは、完結にまとめると、一旦獲得し成熟した知的機能が、脳の病変によって徐々に低下することで起きた症状の全体像を指します。
認知症には原因疾患別に大きく分けて4つの種類(アルツハイマー型認知症・脳血管性認知症・レビー小体型認知症・前頭側頭型認知症)があり、それぞれ疾患による特徴や、また同一疾患であっても個人差があります。
認知症の初期段階での、よくある日常生活の中での変化
認知症は先に述べたように種類や個々により差がありますが、共通する症状があります。
それが記憶障害(記憶を保つ能力の低下)、見当識障害(時間や場所、人そのものやその関連性の認識の低下)、理解・判断力の低下・実行機能(いわゆるPlan・Do・See)の障害です。
様々な情報媒体でも具体例があるかと思いますが、実際に遭遇したエピソードから帰省時や親と会ったときの観察ポイントを紹介したいと思います。
居住空間編
《冷蔵庫の中身》
同じものがたくさん入っていませんか?洋服などのように冷蔵庫にそぐわないものが入っていませんか?
《ごみ分別》
特に資源ごみ。分別が不十分なケースもあれば、分別はできているけど部屋に溜まっているケースもあります。可燃ごみは捨てられているが、資源ごみは・・・ということも初期段階には割と見られます。
身だしなみ編
《習慣のリズムの変化》
散髪や毛染め頻度の変化がありませんか?
《コーディネート》
いつも同じ服、季節がそぐわないなどありませんか?
金銭管理編
《通帳や郵便物》
大きな支払や滞納の有無を確認してください。ただ、いわゆる「ものとられ妄想」がある場合は、チェックすることで疑いの対象になることがあるので注意が必要です。
《支払能力》
小銭が大量にあり、レジで見ていると、提示金額に対してお札しか出さなくなっていたということもありました。
健康状態編
《健康状態の悪化》
急に痩せたり、表情の乏しさや不安な目の揺れがでたり、小さい傷が増えたり、持病が悪化したりしだすと注意が必要です。
他の病気が原因であることも多いのですが、実は実行能力や記憶・判断力の低下で起こっていたことが後で分かるといったケースも何件か経験しました。
以上、細かい症状は個人によって無限にあるのですが、一部のチェックポイントを紹介しました。(*症状があっても認知症でない場合もあります)
症状に早めに気づける工夫
最も大切なのは、出始めた認知症の症状に早く気づき、診断や治療、ケアに繋げることです。
頻繁な訪問がベストですが、難しい場合でも電話や電子機器などのツールで定期的な交流から得られることもあります。
そして親の普段の習慣や人間関係、病気の情報や通院先を把握し、主治医や信頼できる友人、民生委員等から情報が入るよう工夫しましょう。
症状に早めに気づけば、次は認知症専門医への受診です。専門医というところがミソです。最近ではだいぶ減りましたが、専門外の医師が詳しい検査なしに「認知症」と診断してしまうこともあり、これは危険です。
似た症状を引き起こしながらも認知症とは違い治る病気もありますし、認知症だとしても、種類を正確に判断しない限りは、適切な治療やケア、心の準備につながりません。
認知症と診断されたら
本人、専門医と共に治療に関して話し合いましょう。また、適切なケアや介護サービスについては地域包括支援センターに相談します。成年後見人制度についても調べておくことも重要です。
帰省した実家の状況や親の様子について気を配り、早期診断・治療、適切なケアの導入の心準備を行い、いざというとき慌てずにすむ準備をしておきましょう。