介護の仕事は誰でもできる!?元介護士が語る真実とは?
「介護?誰でも出来るじゃん」「大変そう絶対やりたくない」「4K」実際こういうイメージかなり多いです。
実際に周りの人たちにも聞いてみましたが、やはり悪いイメージが多かったですね。(^^;)
正直に言うと、元介護士である私自身もいいイメージはありません。(><)
しかし、これは国をあげてイメージを変えてほしいと思っているのですが、「誰にでも出来る」と言うのは大きな間違いです。
介護の実際の仕事が見えていない人はこういうかもしれませんが、これからこのような気持ちで介護の仕事につこうとしている方は絶対にやめてください。
必ず介護の仕事を辞めることになりますから。それに職歴に傷がつくだけです。
職の誤解
では何故、誰にでも出来るという勘違いが起きているのかと言うと、『そもそも介護士の仕事を勘違いしている』恐らく介護を知らない人の7割ほどはこれでしょう。
きっと、食事を配膳し、食べる手伝い、入浴を手伝ったり着替えを手伝う。夜中はおむつを取り替えている。と思っている人も多いかと思われます。
それも仕方がありません。施設内での職員の仕事に視点を当てられることなんてありませんからね(笑)
実際はどうなのかと言うと、確かに手伝いもします。それ以外にも、寝返りを打つことのできない方の体勢を変えることもします(床ずれを防止する為)また、一日の記録も作成します。
この記録は、施設内にいる利用者(施設を利用されている方の事)の一日の行動や変化を記録しています。
また、これが一番知られていないかと思われますが、施設職員はそれぞれ利用者の担当を持つのですが、それが一人につき5人6人の割り当ては当たり前です。
先ほども少し触れましたが、その担当利用者の一日の行動等を書面化した24時間シート(施設によって名前が違うかもしれません)を作成します。
介護士の仕事内容とは?
24時間シートとは、一日の行動だけでなく、その利用者の詳しい支援方法や朝の習慣。
好きなもの、食事を食べる順番、までありとあらゆる情報が記載されており、全職員間で共有すべき基本情報が記されています。作成する際には個人個人の身体状況・精神状況を把握し、様々な情報を手元に置き頭に詰めるところからスタートします。
もちろん前任の担当者が作成していればそれをもとにすることは出来ますが、基本は更新のたびに何かしら変更がある物です。
職員の勤務状況により観察することが出来ない時間帯の情報は、記録を一つずつ読み、必要な情報を拾っていきます。他の職員に直接聞くということもしますね。
また0から作成する場合や服用する薬が変わった場合には、介護職員のみでは情報を得られないため、看護師や時にはご家族などから話を聞き情報を得なければなりません。
そして、手に入れた情報をもとに作成されるシートは勤務後に作成する場合がほとんどです。
個人情報なので持ち帰りは厳禁。犯罪行為ですからね。もちろん、残業が認められるところは数少ないでしょう。
こうして出来上がったシートを上司に提出し、問題なければ全体に周知します。
この24時間シート以外にも、施設によっては委員会を発足して委員を担当していたり、おむつの発注・受注在庫管理をしていたり、摂取水分量や排出水分量、便の状況をまとめたり、
レクリエーションがあれば企画書を打ち立てプレゼンし、終わった後は写真をプリントアウトしてアルバムを作成し、誕生日には休日を削ってプレゼントを買いに行ったりするわけです。
介護士としての仕事
さて、これでもかと言わんばかりに業務内容をお話しましたが、ごく一部です。
ようやくタイトルに触れますが誰でもできる職業ならば『士』という文字は使わないです。
この文字には「専門的技術を取得したもの」という意味合いがあります。
つまり、誰でもできる介護士にも専門性があるのです。
今までの話を聞けばもうわかるかと思われますが、誰でも出来る部分なんてないのです。
強いて言えば、身体介助と呼ばれるベッドから車いすへと利用者を移動させ技術があります。
一見力任せにすれば…と思うでしょうが、力任せにやると相手の骨を折ります。自分自身も腰を痛めます。
介護士は身体介助を効率的に行う為に、自分自身の体の筋肉の使い方をあらかじめ学んでいるのです。
また食事のお手伝いに関してもただ食事を口に運べばいいわけではありません。
物をかむ動作(そしゃくと言います)を右と左どちらのほほで行うのか、自分は向かい合って座って行うべきなのか横で立って行うべきなのか?ポジション取りも素人には何を根拠に行っているのか把握できないと思われます。
ただやるだけなら確かに馬鹿でも出来る仕事です。しかし、利用者個人の身体状況を把握するために関連するすべての分野を学び、その時に応じた適切な方法で支援・介助を行うことが求められます。これこそ介護士の専門性です。
終わりに
ここまで読めば、もう答えは見えているかと思います。意外と頭を使う仕事なのです(笑)
意外と思われても仕方ないと思います。職員の虐待報道もあり、頭のおかしい人間ばかりなのでは?と思う方も多いでしょう。
もちろんイメージが先行しているため現在の介護施設で働く人間全員が質の良い介護士とは言い難いです。しかし、質の良い介護士がいることも事実です。
この記事が介護士のイメージを変える小さな一歩となるよう願っています。
皆さんも、正しい知識を身に着けてください。必ず自分自身を助ける糧となってくれます。
今後、介護をご自身の手でせざるを得ないという状況は必ずやってくるでしょう。
特にご自身の親族の方の介護と言うのは非常に精神的・肉体的疲労が伴うもので、それは創造を超えたものとなります。
ですので、このような状況になったら、とりあえずプロに相談してください。
どのようなことをすればいいのか、どのような支援制度があるのか等々知識を付ければつけるだけ効率的に、得をすることが出来ます。
問題発言を承知でお話しますが、認知が進むとお互いにストレスが溜まります。
何故できないのか?何度同じことを言えば気が済むのか?いなくなればいいのにと思うことも不思議ではありません。
例え親族でも(もしくは親族だからこそ)このような感情が芽生えるのは至極当然であると思います。
介護から殺人に発展した事件のニュースもよく見るでしょう?こうなるほどに心が疲れるのが介護なのです。
ですから、必ずプロに相談してください。自分の為にも介護が必要な方の為にも、それがお互いの身を守ることに繋がります。