介護における排泄ケアの基本!利用者の負担を軽減する方法も!
介護の中でも排泄ケアは非常に重要な意味を持っています。ただ、おむつを替えたり、トイレまで誘導し排泄を促すだけではないのです。
では排泄ケアはどのような意味を持っているのか?特に重要なポイントを絞り簡単に説明したいと思います。
排泄ケアとは?
誤解されがちですが排泄ケアとは、排泄行為を支援することのみを指す言葉ではありません。
では排泄ケアとは何でしょうか?
例えば、おむつ交換を想像すると次のような流れになるかと思われます。
- 部屋に入り、カーテンを閉める
- 脱衣を行う
- 清拭を行う
- 身体状況・排泄物のチェック
- おむつを交換する
- 着衣を行う
- 換気する
- おむつ、排泄物の処理
排泄ケアとは上記の一連の流れ全てを指す言葉です。
また、この流れの中で注意したい点としては、
1・2.ここでのカーテンを閉めるという行為はプライバシーの保護を目的としています。
他人の前で裸になるというのは非常にプライドが傷つく行為です。
ですので、出窓のカーテンはもちろんベッド周りにカーテンがある場合にも必ず閉めることを心掛けましょう。
また、陰部があらわになった状態である為、下半身に目隠し用のタオルをかけることで同時に寒さ対策も取ることが出来ます。
現実では時間がかかると省略されがちな工程ですが、仕事が出来る介護士ならば誰でも行っている当たり前のことです。
3.清拭を実施する際には必ず温かい清拭用のタオルを使用しましょう。急に冷たいタオルを当てられたら誰でも不快になります。
4.裸の状態を見られる機会と言うのは非常に少ないです。また、排泄物に関しては排便ならば便の硬さだけでも体調を知ることが出来ます。
このような場面で身体状況を確認し把握することで日々の変化を観察し異常を早期発見できます。
5・6.言うまでもなく、「着衣はスムーズに安全に」です。羞恥心への配慮と体温低下を防ぎましょう
7.意外と見逃しがちです。換気と書きましたが消臭スプレーや脱臭機を活用することも良いでしょう。
しかし、スプレーに関しては何も言わずにしようすると「臭かったかな」と自尊心を傷つけてしまったり、立腹される方もいらっしゃいますので、「スプレー使いますか?」と聞くのが無難かと思われます。
実際に色々な声掛けを私も実践していましたが、これが一番相手からの反応に怒気が感じられなかったと思われます。
8.処理に関しては利用者の部屋から排泄物を処理する場所までの移動を指し、例えば、周りから見えないようにバッグに入れるなどするとプライバシーが保護されますね。
今回はおむつ交換についてでしたが、次は自立度の高い利用者に関してのポイントになります。
自立の高い利用者の排泄ケア
さて、自立度が高い方はほぼ自らの力で排泄を行うことが出来ます。
ただ、車いすを使用している、身体に麻痺があるなどの理由から一部分の動作の支援が必要となります。
おむつ交換を実施する際との違いは、あくまでもこちらは一部分の動作の支援のみを行い、無理のない範囲で自立できている部分は本人の力で行ってもらうというところにあります。
しかし人間ですのでよく現場で遭遇する場面が、男性利用者は辛そうに「手を貸してくれと」言うこと。
女性利用者は若い男の職員に「手伝ってー」と声をかけるということ。本人も半笑いで言うあたり、お察しの通り演技です(笑)
本人に聞くと「面倒くさい」とよく言います(笑)
もちろん気持ちはわかりますが、そこはしっかりと本人の力を使っていただくことを諭さなくてはなりません。
ここで私は、「がんばって」という言葉は絶対に使いません。
かなり、現場では聞く単語かと思われますが、自分よりも何十年も長く生きている方にそんな言葉をかけるのは無粋だと思います。
私は「出来るだけ一緒にやってみましょう」とか「やれるだけでいいからやってみましょう」と声をかけていました。
あとは、日々の中でお孫さんのお話やご家族のお話を頻繁にする方には「お孫さんの為に」「息子さん(娘さん)の為に」という言葉を使うと「よしやってみようかな」と腰を上げる人も少なくありません。
人によって考え方はあるかと思われますが、「がんばって」という言葉は相手に全てをゆだねている気がしてなりません。
介護者は傍観者ではないのです。相手に賭ける言葉に関しても注意したいものですね。
介護士としての関わり
さて、ここまでは排泄ケアの利用者の自尊心についてお話しましたが、ここでは介護士として観点に切り替えましょう。
排泄と言うのはここまででわかる通り健康の指標となり、人間の尊厳にかかわる非常にプライベートな部分になります。
ですので、重要なのは利用者の個別性に合わせた支援を実施するために様々な方向から排泄について考える必要があります。
例えば失禁というキーワードを考えてみても、『失禁=おむつ』の使用と即座に結び付けしまっては本人の自立心をそぎ、自尊心を傷つけそれが引き金となり引きこもり状態になってしまうことも考えられ、生活の質の低下に繋がりかねません。
ですので『失禁』の原因を探ることが優先事項となります。
加齢・疾患・障がい…様々なものが考えられますね。その原因によって支援の方法も大きく変わります。
利用者の心身の状態を理解し、その時に合ったベターな対応をしましょう。
終わりに
排泄ケアは介護者・利用者共に負担が大きいです。
お互いのことを理解し合うことも必要ですし、とにかく相手を知らなければ気まずさも見え隠れしますし、そうなると気負いもします。
日々の何気ないコミュニケーションからお互いの関係性を築いていくことがこのような場面活かされていきます。
全ての物事が必ずどこかで繋がり、点が最終的に輪になっていくのです。