認知症介護が楽しい!思わずそう感じる瞬間とは?
高齢化が進み、認知症患者の増加が社会問題となっています。
「認知症高齢者が―」といかにも重大問題(実際問題ではありますが)として報道されています。
しかしながら一昔前はどうだったのでしょうか?
「うちのばあさんがぼけちゃってねー」と一応のおおらかさはあったのではないでしょうか?
昔と状況が違うと言われればそれまでですが、認知介護は独特の楽しさがあります。
健常者からすれば思いもよらない言葉や行動が出てきます、独自の世界で暮らしているわけですから、そこに関われる楽しさがあります。私が出会った方々を少しご紹介。
「ほーう」が口癖のAさんの場合
Aさんは90代近い小柄な女性で認知症も重度でコミュニケーションがほとんど図れません、しかしながら体は動き、徘徊されることが多く一人で歩くのは転倒リスクがあるため、介護士が手をつないで歩いていました。
Aさんは歩きながら「ふんふん」と頷きながら歩いていて、時々止まって一点をジーっとみて「ほーう」と言って、「ふんふん」と頷きながら歩き始めます。
Aさんが何を見て何に感心しているのかは分かりませんでしたが、それが日課のようになっていました。
たまーに、じーっとどこかを見て「あらぁ!」と違った事を言うと他の介護士も含め「凄いのがあったのかな」と思わず笑ってしまいます。
Aさん、何が見えていたの?
結局、最後は「あはは!私わかんないから!」のBさんの場合
Bさんは80代の女性で、認知症は中度ほど、気さくな方で職員の人気者でした。
介護士が洗濯物を畳んでいると、とこからともなくやってきて「おねーちゃん手伝おうか?」と洗濯物を畳んでくれます。
「うまいねーBさん」「あはは、慣れてるもの!」と談笑しながらよく手伝ってくれました。
やっぱり物事は覚えられなくて、「あたしこれから何をすんの?」とよく介護士に聞いていました。
「これからねぇ、ご飯かな?」「ご飯出してくれるの!?」と嬉しそうに笑って「私わかんないからお兄さんについていく!」とにこにこしながら一緒に食堂に向かうのでした。
「ばかやろ!」と暴言ばかりのCさんの場合
Cさんは70代の男性、アルコール性認知症で精神障害も出ていました。
小柄なおじいちゃんなのですが、これまた態度が悪い。何かにつけて「うるせぇ」「ばかやろ!」と暴言が出るわ出るわという方でした。
特に苦労するのが排泄介助で、トイレまで誘導ができるのですが、清拭やパット交換となると「やめろやめろ」と暴れます。
ごまかしながら交換と清拭を終えると「うん、いいね」と。そしてすがすがしい顔で「ありがとう」と言うわけです。
その落差がとても面白く、表情もスカッとしているのですね。
またすぐに声をかけた介護士に「ばかやろ!」と言っているんですが。ええ。
まとめ
認知症介護は大変ですが、ご利用者のキャラクターが濃く毎日いろんな事が起きます。
帰宅願望のため徘徊している方を、別のご利用者が「私が連れてってあげようか?」と一緒に歩いて回るのですが、しばらくすると介護士のところにきて、二人とも「どうやって帰ればいいんですか!?」と。
思わず笑ってしまうこともたくさんです。確かに認知症介護はキツイですが、個性豊かなご利用者と仕事をするのは面白いですよ。