認知症の介護で鬱(うつ)にならないためには?ポイントは笑顔?
認知症を持っている家族の介護をしていると、知らず知らずのうちに疲れが溜まってきますよね。
気が張っている間は平気かもしれませんが、フッと力が抜けたとき、今までの疲れが一気に押し寄せてくるという経験をされた方は少なくないのではないでしょうか。
現代の医学では、認知症の進行を遅らせることはできても、それを止めることも、治すこともできません。
認知症という病気とは、ずっと向き合っていかなければならないのです。
そんな認知症の介護で鬱にならないようにするためにはどうすればよいのか、私の経験を交えてお話ししたいと思います。
認知症は脳の病気なのだと受け入れると鬱になりにくい
認知症は病気です。
本人が望んでワガママなことを言ったり、物忘れが多くなったりしているわけではないのです。頭ではわかっていても、受け入れることは簡単ではないかもしれませんが…。
しかし、「そういう病気なのだから仕方ない」と考えることで、イライラしたりしんどくなったりすることは少なくなるのではないでしょうか。
たとえば、胃が痛いときに無理やりごはんを食べることはできないですよね。認知症も、それと同じなのです。「病気だから仕方ない」と受け入れた上で、「病気とどう向き合っていくか」を考えていくことが重要なのではないかと思います。
安心感を与えると自分も鬱になりにくい
認知症の患者さんは、不安を抱えていることが多いように感じます。
これは私の身内だけではなく、老人ホームや病院で出逢った患者さんを見ていても感じたことです。
本人に認知症の自覚がなくても、今までできていたことができない、忘れることが多くなったなど、自分の身に起こっている不穏な状態は本能的に気付いているのではないでしょうか。
だからこそ、「大丈夫だよ」と安心感を与え、本人の言葉を否定しないことが大事なのではないかと思います。
認知症の家族が不穏な行動を取ることには理由があるのです。その理由がわからなくても、本人を肯定して安心させてあげることで、不穏な行動も減っていくと私は身をもって体験しました。
不穏な行動が減れば、自分の心にも余裕ができて、鬱になりにくいと感じています。
笑顔で接すると自分も鬱になりにくい
特に在宅介護をやっていると、次から次へと大変なことが起こり、心に余裕がなくなっていきます。
心に余裕がなくなれば、こちらの表情も険しくなり、イライラして当たってしまうこともあるでしょう。
そうなると、認知症の家族はますます不穏になってしまいます。
そこで、無理にでも笑顔を作ることをオススメします。口角を上げて、笑いかけてみるのです。
つらい時にこそ笑っていれば、意外とパワーが出てくるものです。本人も釣られて笑顔になり、安心感につながります。
私は、泣きそうな時も逃げ出したい時も明るく笑顔で振る舞うように心がけています。一人になった時、トイレで号泣すればいいのです。
本人の前では、できるだけ笑顔で。そうすることで本人も楽しい気持ちになり、不穏な気持ちも和らいでいくのではないでしょうか。
そしてそれが、自分の気持ちを和らげることにもつながるのです。
認知症介護で鬱にならないために
介護は長く大変なものです。だからこそ、上手に息抜きをしながら、本人の前では明るく楽しく振る舞うことが大切なのではないかと思います。
暴言があったり暴力を振るわれることもあるでしょう。ですが、それはそれ、これはこれです。
介護とリフレッシュは別物だと割り切って考え、一日に短時間だけでも自分の息抜き方法を見つけてください。
私の息抜き方法は、「好きな音楽を聴くこと」です。介護をしているとライブには行けませんし、呼ばれた時に反応ができないといけないのでイヤホンで大音量にして聴くことはできません。
そこで、小さな携帯スピーカーを買って、一曲だけでもと聴くことにしています。
音楽の力はすごいもので、少し聴くだけでも心が浄化されているのを実感できています。
介護を長くやっていると、そのあたりの折り合いも自分なりにつけられるようになってくると思います。
そして、介護そのものを少しでも楽しんでできるようになれば、ますます鬱からは遠ざかっていくと私は感じています。