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介護を難しくする帰宅願望!原因とその対策方法とは?

認知症の周辺症状である「帰宅願望」という行動障害。介護職員であれば必ず聞いたことがある言葉かと思います。それだけ出現頻度が高い症状なのでしょう。

 

でも、一概に「帰宅願望」と一括りにはできません。「家に帰りたい」には様々な意味があるのです。

 

施設で働いている時に実際にあった事例を紹介し、帰宅願望の背景を読み取るヒントになればと思います。

 

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ごくごくまともな訴えの場合もあります

入院を機に、介護が必要となり、家族から私が働いていた施設への申し込みをされたAさん。

 

入所前の面談に病院を訪問し、看護師さんに入院中の様子などを聞いていると、「帰宅願望が強くって怒鳴ることもあるんです」と。

 

その後、Aさんに直接お話しを聞くと、とても認知症や精神的なご病気はなさそうな印象…。

 

よくよくAさんに聞いてみると、病院の不満が沢山だったのです。何度言っても改善されない、話も聞いてもらえないから何度か「帰らせてくれ」と怒鳴ったり暴言を吐いたと…。

 

そして、入院中に処方されていた睡眠薬も後ほど「帰宅願望」と間違えられたイライラを生んでいたことが分かりました。

 

私の働く施設に納得した上で入所し、睡眠薬も徐々に無くしたことで「帰りたい」と言われることもなくとても穏やかな本来のAさんに戻ったのです。

 

これは、認知症の方に起こる「帰宅願望」ではなく、正常な訴えと言えます。

 

時々、「帰宅願望」という言葉だけが独り歩きし、このような誤解を生んでいることもあるので、注意が必要です。

 

 

言葉そのままを受け止めていませんか?

施設で暮らしている、認知症があるBさんは、「帰る」「帰らせて」とウロウロ歩き、玄関をたたいたり、職員に泣きそうな表情で訴え、時に怒ったりすることが出現し始めました。

 

数日間、どのような時に「帰宅願望」が出現するのかを表に残してみたところ、ほとんど尿失禁しないBさんが「帰宅願望」の訴えの後は失禁していることが多いことが分かったのです。

 

そして、もっと詳細に観察すると、居室にいてトイレのドアが開いていると、一人でトイレに行けているが、ドアが閉まっていたり、共有空間にいる際にはトイレに行けない確率が増えていたのです。

 

そこで、居室のトイレのドアを開けておく、共有空間にいる際はトイレにお連れする介護を実践したところ、かなり「帰宅願望」による行動が減ったのです。

 

Bさんにとって「帰りたい」は、「トイレに行きたい」という表現だったのです。

 

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帰りたいのはどこですか?

認知症のあるCさんも「帰宅願望」により行動障害が出ている方でした。険しい顔で「帰るわ」と歩き回り、少しでも人の出入りがあると、そこから外に出ようとして、その都度、周辺を散歩したり、なだめたりと、職員としては目が離せないタイプの方でした。

 

あまりにも頻繁なので、家族に協力してもらって、長年住んでいた自宅に帰る計画を立て実行したのです。

 

さぞかし喜ぶだろうと思っていたのですが、なんと、そこでも落ち着く様子なく帰ろうとするのです。

 

割と遠い場所でしたので、さすがにショックでしたが、Cさんにとっての「帰りたい場所」は、もしかしたら今現在は存在しない場所なのかもしれないと分かっただけでも収穫でした。

 

その後も帰宅願望はしばらく続いたのですが、自分たちが思っているよりも昔の時代をCさんは生きているのかもしれないという考えを元に、回想法(人生や昔の思い出を回想してもらうことで精神状態が安定することを目指す心理療法)を行うなど、スタッフの意識も変わったり、本当に少しですが、安定している時間が増えたように思います。

 

 

まとめ

このように「帰宅願望」といっても色んなケースがあります。認知症の症状でなく、まともな訴えの場合は「帰宅願望」とは言いませんので、しっかり耳を傾け話し合いましょう。

 

認知症による行動障害の場合で、他の困りごとがきっかけになっていたケースと、解決は困難でしたが帰る場所が存在しないケース等をご紹介しました。

 

私の経験では排泄や睡眠の状況、精神系のお薬が症状の悪化やきっかけに影響していたことが多かったと記憶しているのですが、他にも、いろいろなケースがあることかと思うので、「帰りたい」理由をしっかり考えることが大切です。

 

道に迷ったり、思わぬ事故につながる可能性があり、介護の負担を増す困った症状ですが、所在確認の援助等と共に、捜索マニュアルの整備やGPSの活用により、いなくなった時の対策を講じた上で、出来るだけ情報を詳細に集めましょう。

 

表情や時間、声掛けへの反応など、詳細に情報収集するとともに、睡眠や食事、排泄状況も情報収集していくと、何か傾向が見えることもあります。

 

全面解決は難しいケースが多いと思いますが、症状が少しでも軽減すれば職員さんの負担も減ると思います。

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